百聞は一見にしかず・・・遺伝子工学実習見学

(今回のバイオテクノロジー学科のエントリは、非常勤講師の原林先生から寄稿していただきました!)

9月5日、バイオテクノロジー学科の1年生
18名が、2年生の「遺伝子工学実習」を見学しました。

バイオテクノロジー学科では1年次に全員が「遺伝子工学」を、2年次に「遺伝子・生化学専攻」を選択した学生が「遺伝子工学実習」を履修します。「遺伝子工学」の授業では、遺伝子を組み換える、宿主に導入する、増幅させる・・・といった言葉が次々に出てきますが、目に見えない遺伝子をどのように扱うのか、想像力をたくましくして自分でイメージするしかありません。なんだかよくわからないと思っているうちに授業に対するモチベーションが下がる、ということにもなりがちです。そこで、2年前から1年生に2年生の実習を見学させる試みを始めました。見学することで、

・座学で学んでいる内容をより具体的にイメージできるようにする

・授業へのモチベーションを高める
・2年次のコース選択における一つの判断材料とする

ことを目指しています。

 さて当日の朝、見学する1年生も迎える2年生も、やや硬い表情で実習担当の鈴木先生のお話を聞きました。1年生は英語を交えての説明に度肝を抜かれ、使ったことのない器具に目を見張り、扱う試薬の量の少なさに驚き・・・。遺伝子を扱う実験ではガラスの試験管ではなく、エッペンドルフチューブという長さ4cm程度のプラスチックチューブを使います。加える試薬はμリットル単位(!)で、見た目にはほんのひとしずくという感じ。「涙一粒が50μリットルだよ」という鈴木先生の説明に、1年生はびっくりです。
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(説明を聞いているところ)

 今回はヒトの癌細胞から取り出したDNAPCRで増幅させます。PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)とは、DNAの特定の領域を短時間に大量にコピーする方法です。犯行現場に残された髪の毛一本から犯人を特定したり、少量の血液サンプルから血縁関係を鑑定したりするときに、DNAの配列パターンを示すバーコードのようなものを見たことはありませんか? DNAPCRで大量に増やせば、あんなふうに「目に見える」ようにできるのです。
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(実習中の2年生)

2年生が手際よく操作をするのを見学し、使っている器具の説明を聞いた後は、電気泳動の装置を見せてもらうことに。電気泳動は、DNAをゲルでできた「ふるい」にかけることで大きさにより分離する方法です。寒天でできたゲルを装置にセットし、マイクロピペットで練習用のサンプルを注入してみました。勢いがよすぎるとサンプルがあふれ出てきますし、深く差し込みすぎるとゲルを突き刺してしまいます。1人1回ずつのトライでしたが、うまくできた人、手が震えて失敗する人、リベンジを志願する人などなど・・・予想以上の盛り上がりを見せました。
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(電気泳動装置に群がる1年生)

 さて、2年生が調製したサンプルは、サーマルサイクラーという機械に入れます。この機械はサンプルを指定した時間だけ指定した温度に保つ、ということを繰り返します(意外と小さな機械で見た目もシンプルです)。今回は、94℃30秒、60℃30秒、72℃2分というサイクルを30回行います。1本のDNAが1サイクル目で2本に、2サイクル目で4本に・・・と増えていきます。30回繰り返すと、なんと10億を軽く突破することになります。サーマルサイクラーでの反応が終了後、2年生は目的のDNAが大量に増えたかどうか、電気泳動で確認します。
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(サーマルサイクラーの前で説明する鈴木先生)

 ここで3時間目が終了し、見学は終わりました。実習を見学した1年生の感想は、

・2年生の手際のよさに感心した

・とても細かい操作で大変
・自分でもやってみたいと思った
・電気泳動の結果も見たかった

と、さまざまでした。

前向きな感想が多かったのは嬉しいことですが、ただ単に「楽しかった」「教室で授業を聞くよりはまし」で終わらないよう、内容や事前の学習をこれからも検討して、より有意義なものにしていきたいと思っています。

(文責:原林)